テナント店舗に固定資産税はかかるの?
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店舗を経営しているオーナーは様々な税金を納めなければいけませんが、そのうちの1つが固定資産税です。
固定資産税というと、土地や建物を所有している人に課される税金と思っている人がいるかもしれませんが、そのほかに償却資産も課税対象になります。
店舗を経営しているオーナーとしては、土地や建物とともにどのような償却資産に固定資産税が課されるのか知っておく必要があります。
また、店舗の固定資産税の税額がどのくらいになるのかも大事なポイントです。
そこで今回は、これらの問題について詳しい解説をします。
固定資産税とは?
固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物、償却資産を所有している人に対して市町村が課税する税金です。
ただし、東京23区では、区ではなく、東京都が代わりに課税することになっています。
対象者は1月1日時点で固定資産課税台帳に登録されている人です。
具体的な対象者については次の表を参照してください。
固定資産 | 納税義務者 | 固定資産の所有者 |
---|---|---|
土地 | 固定資産の 所有者 | ・原則、登記簿や土地補充課税台帳に所有者として登録されている者 |
家屋 | ・原則、登記簿や家屋補充課税台帳に所有者として登録されている者 | |
償却資産 | ・原則、償却資産課税台帳に所有者として登録されている者 |
引用元:総務省|固定資産税|納税義務者(税を納めなければならない人)
2023年度時点では、4,167万人が土地の固定資産税を納め、4,255万人が家屋の固定資産税を納め、490万人が償却資産の固定資産税を納めています。
固定資産税の目的
固定資産税の使途は決まっていません。
これを普通税といいますが、市町村によって様々なことに使われています。
例えば、道路や学校、公園などの建設費用、公共施設の整備費用、介護・福祉などの行政サービスのための費用などです。
店舗に課せられる固定資産税
店舗を経営しているオーナーとしては、どのような資産に固定資産税が課せられるのか知っておく必要があります。
そこでまず、店舗の固定資産税の内容を確認しておきましょう。
店舗所有の場合
店舗を所有している場合は、土地と建物、償却資産に固定資産税が掛かります。
対象が店舗だけになっている不動産の場合は、住宅用地や小規模住宅用地などの軽減措置を受けられません。
これは住宅として使っている建物や土地にのみ適用される軽減措置だからです。
所有しているのが店舗兼住宅の場合は、自宅の床面積が1/2以上だと、建物の固定資産税の減額措置を利用できます。
新築してから3年間は固定資産税額が1/2に減額されるという軽減措置です。
店舗兼住宅の固定資産税は店舗部分と住宅部分で分けての課税になります。
店舗兼住宅の固定資産税減額措置には小規模住宅用地・一般住宅用地の軽減措置制度もあります。
今度は自宅部分の床面積ではなく、土地の面積が1/2以上であれば、上記の軽減措置を受けられるのです。
小規模住宅用地に関しては住宅用地で住宅1戸につき200㎡までの部分の固定資産税が固定資産税評価額×1/6に、一般住宅用地に関しては小規模住宅用地以外の住宅用地の固定資産税額が固定資産税評価額の1/3となります。
償却資産については、次項の「賃貸店舗の場合」のところで解説します。
賃貸店舗の場合
賃貸店舗の場合、借り主であるオーナーは建物や土地に対する固定資産税を納める必要はありません。
建物や土地に対する固定資産税はあくまでも所有者に負担義務があるので、貸し主である大家さんが納めることになります。
では、借り主の店舗オーナーは固定資産税を納めなくていいのかというと、償却資産に対する固定資産税が掛かります。
そこで償却資産について詳しく解説しましょう。
償却資産とは?
償却資産とは、事業に用いることができる土地や建物以外の資産のことで、金額は10万円以上のものです。
構築物、機械、器具、備品などが当てはまります。
家庭用として使用すると、固定資産税の対象から外れることもありますが、事業用なら課税対象です。
償却資産の具体的な項目
償却資産の概要が分かっても、具体的な項目はどうなっているのだろうという疑問も生じるでしょう。
そこで、東海村の公式サイトから引用してみましょう。
■主な償却資産の種類
種類 | 主なもの |
---|---|
1種構築物 | 舗装路面、門、塀、外構、広告塔,内装(テナントの場合)、緑化施設、駐車場、煙突など |
2種機械及び装置 | 製造設備、工作機械、印刷機械など |
3種船舶 | ボート、釣り船、貨物船など |
4種航空機 | 飛行機、ヘリコプターなど |
5種車両及び運搬具 | 大型特殊自動車、その他の運搬車など |
6種工具・器具及び備品 | 工具、金型、陳列棚、机、ロッカー、事務機器、金庫、医療機器、自動販売機、理美容器具、カラオケ機器など |
■業種別の一般的な償却資産の例
業種 | 主な償却資産の内容 |
---|---|
事務所 | 机、椅子、応接セット、ロッカー、キャビネット、パソコン、コピー機、エアコン、ファックス、タイムレコーダー、テレビ、看板など |
飲食店 | テーブル、椅子、厨房設備、冷蔵庫、エアコン、看板、レジスターなど |
小売業 | 陳列棚、レジスター、冷蔵庫、自動販売機、看板など |
工場 | 受変電設備、旋盤、ボール盤、プレス機、金型、溶接機、工具、舗装路面、塀など |
建設業 | 大型特殊自動車(注意)、ポンプ、ブルドーザー、パワーショベル、ミキサー、発電機など |
理容・美容業 | 椅子、タオル蒸し器、スチーマー、消毒機、サインポール、看板など |
クリーニング業 | 洗濯機、脱水機、乾燥機、プレス機、ビニール包装設備、看板など |
ガソリンスタンド | 洗車機、コンプレッサー、ジャッキ、リフト、ガソリン計量器、地下タンク、照明、塀、舗装路面など |
病院・診療所 | ベッド、検査機器、ソファ、X線装置など |
不動産賃貸業(アパート、ビル、駐車場) | 舗装路面、門、塀、フェンス、緑化施設、外灯、自転車置場、ゴミ捨て場、屋外の排水設備、看板など |
店舗の種類によっても償却資産の内容は変わりますが、該当する項目がないという店舗はないでしょうから、固定資産税を納税することになります。
固定資産税の対象外の償却資産もあるので、同じく東海村の公式サイトから引用しましょう。
- 耐用年数1年未満のもの
- 取得価額10万円未満で、税務会計上、一時に損金の額に算入しているもの
- 取得価額10万円以上20万円未満で、法人税法上又は所得税法上、事業年度ごとに一括して3年間で償却を行うもの
- 自動車税又は軽自動車税の課税対象となるもの
- 無形減価償却資産(商標権、特許権、ソフトウェアなど)
店舗の固定資産税の額
店舗が納めることになる固定資産税の種類を見てみましたが、気になるのは納税額です。
どのくらいの額になるでしょうか。
確認してみましょう。
固定資産税の計算方法
固定資産税の計算式は以下のようになっています。
”固定資産税課税標準額×標準税率(1.4%)”
標準税率は自治体によっても変わり、1.4%ではなく、1.5%や1.6%のところもあります。
固定資産税課税標準額とは?
固定資産税課税標準額は税率をかけることによって、固定資産税が求められる金額のことです。
同じような言葉に固定資産税評価額がありますが、こちらは固定資産の価値を各自治体が評価した金額になります。
通常、建物については固定資産税課税標準額と固定資産税評価額は同じなのですが、住宅用地などに関しては、固定資産税課税標準額が固定資産税評価額より低くなります。
その理由はこうです。
1.特例がある
店舗兼住宅について説明したコーナーで固定資産税の軽減措置(特例)について簡単に触れておきましたが、この特例が適用されると、住宅用地の固定資産税課税標準額が低くなります。
- 小規模住宅用地⇒固定資産税評価額×1/6=固定資産税課税標準額
- 一般住宅用地×1/3=固定資産税課税標準額
この特例により、固定資産税課税標準額と固定資産税評価額が変わります。
2.負担調整率
土地に課せられる固定資産税を計算するときに考慮されるのが負担調整率です。
土地の固定資産税評価額は3年に1回の割合で更新されますが、急激に評価額が上昇することがあります。
そうなると、納税者の納税負担も急激に多くなり、大変です。
そこで導入されているのが負担調整率。
地方税法により。土地の固定資産税評価額が大きく上昇しても、固定資産税課税標準額の上昇率を抑えられるように負担調整率が用意されています。
負担調整率を使った土地の固定資産税課税標準額の計算式は以下のようになります。
「前年度の固定資産税課税標準額×負担調整率=今年度の固定資産税課税標準額」
このような理由により、土地の場合は、固定資産税評価額よりも固定資産税課税標準額の方が低くなることがあるのです。
少し複雑な仕組みのように思えるかもしれませんが、店舗の固定資産税について正確な計算をするうえで大事なことですから、頭に入れておいてください。
固定資産税課税標準額の確認方法
固定資産税課税標準額の確認方法を見てみましょう。
次のような書類で確認できます。
- 固定資産税の課税明細書⇒固定資産税の納税通知書と一緒に同封されている
- 固定資産課税台帳⇒市区町村の役所や都税事務所で閲覧申請する
- 固定資産評価証明書⇒市区町村の役所や都税事務所で入手する
償却資産の課税標準額
償却資産については、1品ごとに取得年月、取得価額及び耐用年数を基に評価額を算出し、この評価額がそのまま課税標準額になります。
この償却資産の課税標準額が150万円未満(免税点未満)の場合は、固定資産税は課されません。
償却資産の評価額の計算式は以下の通りです。
[前年前に取得したもの]”前年度評価額×前年前取得分の減価残存率=評価額”
原価残存率とは、1年間に使用した後の資産の価値を算出するための割合のことです。
東京都主税局の公式サイトから、原価残存率表を引用してみましょう。
例えば、耐用年数が7年のものは償却率が0.280で、減価残存率は1-0.280=0.720となります。
償却資産の評価額(課税標準額)を計算してみよう
実際に償却資産の評価額(課税標準額)を計算してみましょう。
令和5年9月に耐用年数4年のパソコンを取得価額300,000円で入手したとします。
この場合、前年中に取得した「耐用年数4年」の資産の減価残存率は0.781です。
前年前に取得した「耐用年数4年 」の資産の減価残存率は0.562です。
すると、次のような計算式になるでしょう。
- 令和6年度=300,000円×0.781=234,300円
- 令和7年度=234,300円×0.562=131,676円
- 令和8年度=131,676円×0.562=74,001円
- 令和9年度=74,001円×0.562=41,588円
- 令和10年度=41,588円×0.562=23,372円
- 令和11年度=23,372円×0.562=13,135円→15,000円
※令和11年度の評価額は、取得価額(300,000円)の5%未満で13,135円となりますが、固定資産税(償却資産)の評価額は取得価額の5%が最低限度額です。15,000円ということです。そのため、このパソコンが事業用に使用されている期間の評価額は、令和11年度以降は15,000円となります。
この評価額に固定資産税の税率をかけると、固定資産税額が算出されます。
固定資産税の申告方法はどうなっている?
店舗を開業することで発生する固定資産税ですが、どのように申告するものなのでしょうか。
確認してみましょう。
土地や建物の固定資産税は申告しなくていい
土地や建物の固定資産税は申告しなくていいです。
土地や建物を所有したときは登記をするので、自治体側でも不動産の所有状況がわかっています。
そのため、わざわざ所有者が申告しなくても納税額を決められるのです。
各自治体が決めた課税標準額に固定資産税の税率を乗じて固定資産税額を算出し、その納税額を納税通知書で各所有者に通知します。
店舗の土地や建物を所有している人は、納税通知書を見て、固定資産税を納めることになります。
償却資産は申告の必要あり
店舗の償却資産については自治体も把握できませんから、店舗側で申告しないといけません。
申告に当たって提出する書類は[償却資産申告書]と[種類別明細書]です。
申告する事項は次のようなことです。
- 取得価額⇒引き取り運賃・荷役費・運送保険料・関税など直接要した費用も含む
- 耐用年数⇒法人税または所得税の申告で用いるのと同じ耐用年数を用いる
- その他⇒所在・種類・数量・取得時期など、償却資産課税台帳の登録及び価格の決定に必要な事項
店舗で使用する償却資産によっては課税標準の特例という制度があり、固定資産税額が軽減されます。
次のような償却資産が対象です。
特例対象資産 | 適用期間 | 特例率 | 適用条項 | 添付書類 | |
---|---|---|---|---|---|
内航船舶 | なし | 2分の1 | 地方税法第349条の3 | 第5項 | ・船舶原簿、船籍票および登録票の写し 等 |
再生可能エネルギー発電設備 (自家消費型太陽光発電設備) | 3年度分 | 1,000キロワット未満→3分の2 1,000キロワット以上→4分の3 | 地方税法附則第15条 | 第26項 | ・一般社団法人環境共創イニシアチブが発行した再生可能エネルギー事業者支援事業費補助金交付決定通知書の写し |
中小事業者等が先端設備等導入計画に従って取得した新規設備等 ※賃上げ方針ありの場合
| (令和6年3月31日までに取得した設備) 5年度分
(令和7年3月31日までに取得した設備) 4年度分
| 3分の1 | 地方税法附則第15条 | 第45項 | ・先端設備等導入計画に係る申請書の写し ・先端設備等導入計画認定書の写し ・認定経営革新等支援機関による事前確認書の写し ・認定経営革新等支援機関が発行する投資計画に関する確認書の写し ・従業員へ賃上げ方針を表明したことを証する書面の写し ※リース会社が申告する場合は、上記添付書類と併せて、 ・リース契約書の写し ・リース事業協会が確認した固定資産税軽減計算書の写し
|
中小事業者等が先端設備等導入計画に従って取得した新規設備等 ※賃上げ方針なしの場合
| 3年度分 | 2分の1 | 地方税法附則第15条 | 第45項 | ・先端設備等導入計画に係る申請書の写し ・先端設備等導入計画認定書の写し ・認定経営革新等支援機関による事前確認書の写し ・認定経営革新等支援機関が発行する投資計画に関する確認書の写し ※リース会社が申告する場合は、上記添付書類と併せて、 ・リース契約書の写し ・リース事業協会が確認した固定資産税軽減計算書の写し |
中小事業者等が先端設備等導入計画に従って取得した新規設備等 | (令和5年3月31日取得分まで) 3年度分 | 課税標準額がゼロになります | 旧地方税法附則第64条 | ・先端設備等導入計画に係る申請書の写し ・先端設備等導入計画認定書の写し ・工業会等による仕様等証明書の写し ※リース会社が申告する場合は、上記添付書類と併せて、 ・リース契約書の写し ・リース事業協会が確認した固定資産税軽減計算書の写し |
引用元:淡路市|償却資産(固定資産税)に係る課税標準の特例について
根拠法令 | 特例対象資産 | 具体例 | 取得時期 | 適用期間 | 特例割合 |
---|---|---|---|---|---|
地方税法 第349の3第5項 | 内航船舶 | 漁船など(回遊船、遊魚船等を除く) | なし | 期限なし | 1/2 |
地方税法 第349の3 第27項 | 家庭的保育事業の用に供する償却資産 | 各事業の認可を得た者が直接当該事業の用に供する償却資産 ※ | なし | 期限なし | 1/3 (わがまち特例) |
地方税法 第349の3 第28項 | 居宅訪問型保育事業の用に供する償却資産 | ||||
地方税法 第349の3 第29項 | 事業所内保育事業(利用定員が5人以下のものに限る)の用に供する償却資産 | ||||
地方税法 附則 第15条 第2項 第1号 | 汚水又は廃液の処理施設 | 沈殿・浮上装置、油水分離装置、汚泥処理装置、ろ過装置など | 令和6年4月1日から令和8年3月31日までに取得したもの | 期限なし | 1/2 (わがまち特例) |
地方税法 附則 第15条 第2項 第5号 | 下水道除害施設 | 沈澱又は浮上装置、油水分離装置など | 令和6年4月1日から令和8年3月31日までに取得したもの | 期限なし | 4/5 (わがまち特例) |
地方税法 附則 第15条 第28項 | 浸水防止用設備 | 防水板、防水扉、排水ポンプ及び換気口浸水防止機など | 平成29年4月1日から令和8年3月31日までに取得したもの | 5年間 | 2/3 (わがまち特例) |
旧地方税法 附則 第15条 第32項 | 企業主導型保育事業の用に供する償却資産 | 子ども・子育て支援法に基づく企業主導型保育事業の運営費の補助を受けた事業者等が当該事業の用に供する償却資産 | 平成29年4月1日から令和6年3月31日までに取得したもの | 5年間 | 1/3 (わがまち特例) |
地方税法 附則 第15条 第44項 | 先端設備等導入計画に基づき取得した資産 | 中小企業者等が認定先端設備等導入計画に基づき取得した一定の条件を満たす償却資産 | 令和5年4月1日から令和7年3月31日までに取得したもの | 賃上げ表明なし:3年間 賃上げ表明あり:4年間又は5年間 | 賃上げ表明なし:1/2 賃上げ表明あり:1/3 |
引用元:船橋市|償却資産に係る課税標準の特例及び非課税について
淡路市と船橋市の公式サイトに記載されている例を取り上げましたが、このほかにも該当項目があります。
課税標準の特例の適用を受けたい場合は、申告時に[特例適用申告書(自治体によって名称は異なる)]などの書類も提出します。
償却資産の申告方式
償却資産の申告方式は一般方式と電算処理方式の2種類あります。
それぞれについて説明しましょう。
◆一般方式
一般方式では、はじめて申告する人は所有するすべての償却資産の申告をします。
毎年申告している人は、すべての償却資産ではなく、前年中の増減分を申告すればダイジョウブです。
前年中に資産の増減がない場合は、償却資産申告書に「増減なし」と書きましょう。
評価額の計算などは自治体側で行ってくれます。
◆電算処理方式
電算処理方式では、はじめて申告する人も毎年申告している人も所有しているすべての償却資産について事業者側で評価額などを計算し、申告します。
会計ソフトなどを使っている店舗の場合は、電算処理方式で評価額の計算を求められても対応しやすいですが、手書きで集計をしている店舗では電算処理方式への対応が難しいです。
そのため、償却資産の増減のみの申告でよく、評価額の計算もしなくていい一般方式の利用がおすすめです。
申告書類の書き方
固定資産税の申告で提出することになる書類の書き方を説明しておきましょう。
種類別明細書の書き方
種類別明細書は2種類あって、[増加資産・全資産用]と[減少資産用]の別があります。
前者ははじめて申告する方、2年目以降で償却資産が増えた方用です。
償却資産を売却したり除却したりして減った場合は、後者を使用します。
2年目以降、償却資産が増加も減少もしていなければ、種類別明細書の提出は必要ありません。
それぞれの記入項目を整理しておきましょう。
■増加資産・全資産用の記入項目
- 資産の種類⇒6つの資産区分のうち、該当するものを記入する
- 資産の名称等⇒償却資産の名称を具体的に
- 数量
- 取得年月⇒1月1日に取得した場合は、前年の12月とする
- 取得価額
- 耐用年数⇒法定耐用年数を記入
- 増加事由
- 摘要⇒特記事項があれば記入
■減少資産の記入項目
- 異動区分⇒「減少」または「修正」
- 資産の種類⇒6つの資産区分のうち、該当するものを記入する
- 資産の名称等
- 数量⇒償却資産の数量が減少した場合は、抹消線を引き、下段に減少後の数量を記入する
- 取得年月
- 取得価額⇒資産の一部が減少した場合は、抹消線を引き、欄内下段に減少後の取得価額を記入する
- 減少等の事由⇒「売却」「除却」など
- 摘要⇒償却資産の具体的な減少内容を記入する
償却資産申告書の書き方
償却資産申告書は先に制作した種類別明細書の内容に沿って記入していけばダイジョウブです。
記入項目が多いものの、特に難しい項目はありません。
1点だけ注意していただきたいのは、資産の種類別の取得価額の項目。
[前年前に取得したもの][前年中に減少したもの][前年中に取得(増加)したもの]をまとめて差し引いたものを記入してください。
申告から課税までの流れ
償却資産申告から課税までの流れは以下のようになっています。
- 償却資産申告書の提出⇒1月1日現在所有している償却資産を、その年の1月31日までに、資産を所有している市区町村または都に申告する
- 償却資産の評価と税額の決定⇒申告内容をもとに、自治体側が資産ごとの評価額を算出し、税額を決定する
- 課税台帳への登録・公示⇒自治体側が資産の価格などを償却資産課税台帳に登録し、その旨が公示される
- 課税台帳の閲覧⇒償却資産台帳に登録された価格などが閲覧可能になる
- 審査の申出⇒償却資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合は、審査の申し立てができる
- 納税通知書の交付⇒税額が算出され、6月上旬に納税通知書が交付される
- 審査の請求⇒課税内容に不服がある場合は、審査の請求ができる
- 納税⇒通常、4回に分けて納税できる
※審査の申し出や請求には期限があります
※納税時期は、令和6年東京23区の場合は以下の通りです。
第1期 | 令和6年7月1日(月曜日) |
第2期 | 令和6年9月30日(月曜日) |
第3期 | 令和6年12月27日(金曜日) |
第4期 | 令和7年2月25日(金曜日) |
固定資産税の納付方法
固定資産税の納付方法は以下のようなものです。
- 市町村や金融機関の窓口
- 口座振替
- コンビニエンスストア
- スマートフォン決済アプリ
- クレジットカード
- ペイジー
- eLTAX(電子納税)
現金で納付する場合は、納税通知書に同封されている納付書で1や3の支払い方法を利用できます。
固定資産税は定期的に納税する税金なので、2の口座振替もおすすめです。
4や5の支払い方法では、納付でポイントが貯まります。
eLTAX(エルタックス)は地方税ポータルシステムともいい、地方税の手続きを電子的に行えるシステムです。
固定資産税については、eLTAXで償却資産の全資産申告・増加資産/減少資産申告・修正申告などができます。
納税についてはできる自治体とできない自治体があります。
店舗の固定資産税は経費に落とせる?
店舗の固定資産税は経費に該当させることができます。
事業用の固定資産に科される固定資産税はすべて経費計上できるのです。
テンペ経営は紛れもない事業の1つですから、経費計上して全く問題はありません。
自宅兼店舗の場合は、事業割合に当てはまる部分が経費として落とせます。
生活用の部分は経費にはならないので、計算をすることになるでしょう。
店舗を廃業したら、固定資産税はどうなる?
店舗を廃業して店じまいしたら、固定資産税の納税義務がなくなるだろうと思いたいよですね。
しかし、そうなるとは限りません。
固定資産税は1月1日時点で、店舗オーナーが所有している資産に対して課税される税金です。
土地と建物と償却資産を所有しているなら、すべてに固定資産税が掛かってくるでしょうし、土地と建物を所有していなくても償却資産だけには課税されます。
そのため、店舗を廃業したのが1月1日以降、例えば2024年の3月1日であれば、1月1日時点では資産を所有していることになるので、固定資産税の納税義務が生じ、その年度分として課税されます。
店舗廃業で行う手続きがいろいろあるでしょうが、固定資産税の納税義務が免除にならないことが多いので、注意してください。
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