管理美容師が廃止になるという話があったけれ本当？現在はどうなっているの？

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管理美容師が廃止って聞いたけど本当のところはどうなの？

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管理美容師という存在をご存じでしょうか？

管理美容師はヘアードレッサー二人以上で美容室を開設する際に必要になる存在で、衛生管理の役割を担う方です。

ところが、この管理美容師を廃止するという話があったのです。

かなり前のことですが、この話はどうなったのでしょうか？

そして、現在の状況はどうなっているでしょうか？

今回は、管理美容師の存在に焦点を当てながら、「管理美容師が廃止になる」という話の経緯とその後について説明しようと思います。

管理美容師ってどんな方？

まずは、管理美容師とはどんな方なのかを説明しておきましょう。

管理美容師＝美容室や美容院などの美容所において、美容師法に基づき、衛生管理や従業員の健康・安全、店舗の運営体制の維持管理などを担う責任者のことです。

美容所を開設する場合には、一定の条件を満たす店舗ごとに必ず一名以上の管理美容師を置くことが義務づけられています。

一定の条件とは、ヘアードレッサーが常時二人以上いる美容所を開設する場合です。

管理美容師は単なる肩書きではなく、法律で定められた重要な役割であり、美容業界における「衛生と安全の専門責任者」とも言える存在です。

管理美容師の主な役割

管理美容師は通常のカットやカラーリングなどの美容業務も行いますが、そのほかに衛生管理に関する専門的な業務と責任も負います。

具体的には、次のような役割があります。

▶衛生管理の責任者

管理美容師は美容所全体が、美容師法や地方自治体の条例に則った衛生的な環境を保てているかを日常的にチェックし、整備する責任を負います。

▶器具・設備の点検と管理

管理美容師は使用するハサミ・コーム・タオルなどの器具やシャンプー台・換気設備などの設備に関して、洗浄・消毒・保管が正しく行われ、常に衛生的であるかを点検・管理します。

特に消毒法については、専門知識に基づいた徹底的な管理が求められます。

▶環境整備

管理美容師は店内の十分な換気、適切な照明の明るさが保たれているかなどを点検・管理し、快適かつ安全な環境を維持するようにします。

▶従業員への衛生教育

管理美容師は他の従業員に対し、正しい衛生知識や消毒方法、清掃手順などについて教育を実施し、美容所全体の衛生意識を高めます。

▶従業員の健康管理

管理美容師は従業員の健康状態を把握し、もし感染症にかかっている者がいる場合は、御客様や他の従業員への感染拡大を防ぐための適切な措置を講じ、必要に応じて保健所への届出も行います。

管理美容師は御客様が安心してサービスを受けられる環境を整える「守りの要」であり、美容室の安全性と信頼性を支えるプロフェッショナルな存在と言えるでしょう。

管理美容師になるための条件は？

二人以上のヘアードレッサーが働く現場では、最低でも一人の管理美容師を置かなければいけません。

そのためにも管理美容師になる方法も知っておかないといけないので、その条件をご案内しましょう。

条件①｜美容師免許は必須

管理美容師という名称が示すように、これはヘアードレッサー（美容師）が取得することになる1つの資格です。

そのため、美容師免許を持っていないと、管理美容師にはなれませんね。

美容師免許保有が大前提になるのです。

条件②｜ヘアードレッサーとしての実務経験が3年以上ないといけない

管理美容師になるためには、ヘアードレッサーとしての実務経験が3年以上ないといけません。

店舗の衛生管理や後輩の指導を担う重要な立場になるので、一定の現場経験が求められるのです。

講習会の受講資格基準日までに日本国内での従事期間を合算して、この条件を満たす必要があります。

複数の美容所で働いていた場合は、それぞれの美容所から「美容業務従事証明書」を取り寄せ、合計で3年以上であることを証明することになります。

条件③｜都道府県知事指定の「管理美容師講習」を修了しないといけない

管理美容師になるには、実務経験を積んで都道府県ごとに実施される管理美容師講習を受講し、全課程を修了する必要もあります。

正式には「管理理容師・管理美容師資格認定講習会」という名称です。

講習を修了すると、「管理美容師資格認定証」が交付されます。

▶管理美容師講習の内容

管理美容師講習の内容を簡単にまとめておきましょう。

• 講習時間：合計18時間程度（通常2〜3日間）
• 講師：美容師法施行規則23条第二号に定める者で、専門的な知識・技術・経験を有している者
• 受講者数：1講師当たり同時に講習を受ける受講者数の数は200人が限度
• 主な講習科目の内容は以下の通り

1. 公衆衛生

• 環境衛生の基礎知識
• 感染症の予防
• 公衆衛生の重要性

2. 美容所の衛生管理

• 施設・設備の衛生管理
• 器具の消毒方法
• 衛生管理の実務
• タオル・リネン類の管理

3. 関係法規

• 美容師法
• 理容師美容師法施行令・施行規則
• 保健所への届出手続き
• その他関連法規

4. 労働衛生

• 職場環境の管理
• 労働安全衛生
• 従業員の健康管理

管理美容師になるメリット

ヘアードレッサーが管理美容師になることで、どのようなメリットが得られるでしょうか？

いくつか皆さん方と関係があるメリットを取り上げてみましょう。

サロン運営に欠かせない存在になる

管理美容師は「衛生管理の専門家」としてサロン運営に欠かせない存在になります。

美容所の衛生基準を理解し、スタッフへ指導できる立場になることで、お店からの信頼はもちろん、御客様に対しても安心感を提供できるようになります。

特に複数スタッフが働くサロンでは、管理美容師がいることで営業が安定し、トラブルのリスクも減ることになるでしょう。

転職・昇格で有利になる

管理美容師になると、転職・昇格で有利になります。

従業員が常時二人以上いる美容室には、管理美容師の配置が法律で義務づけられているため（美容師法）、資格保有者は需要が高く、就職や転職の際にも活躍の場が広がります。

サロン内の衛生管理の責任者として、責任あるポジション（店長、マネージャーなど）への昇格も期待できるでしょう。

それに伴い、資格手当が支給され、給与アップに繋がる可能性もあります。

独立開業でも有利に

管理美容師になると、独立開業の際にも有利になります。

従業員（ヘアードレッサー）を二人以上雇う場合、自身が管理美容師の資格を持っていれば、改めて資格者を雇う必要がなく、安心して経営できます。

これは美容室の開業を考えている方にはとても大切なポイントになるでしょう。

専門的な衛生管理知識を習得できる

管理美容師になる＝専門的な衛生管理知識を習得していることを意味します。

管理美容師講習で学習をすることで、ヘアードレッサーとしての基本的な知識に加え、公衆衛生や衛生管理に関する専門的かつ最新の知識と技術が身に付くのです。

これにより、感染症予防や器具の消毒作業などを適正化し、御客様に安全・安心なサービスを提供できるようになります。

職場での 信頼と評価が上がることにも

管理美容師資格を持っていると、サロン内での信用が高まります。

オーナーや同僚から「安心して任せられる人」と評価されることが多く、昇進や給与面でもプラスに働くことがあるでしょう。

管理美容師が廃止になるって話は本当？

ヘアードレッサーが管理美容師になるメリットを取り上げてみましたが、そんな管理美容師が廃止になるという話がありました。

どういうことか、ここで詳しく説明しましょう。

2010年の事業仕分けでのことだった

管理美容師が廃止になるという話が出たのは、2010年の事業仕分けでのことでした。

2010年5月に政府の行政刷新会議「事業仕分け」で管理美容師制度が廃止と結論付けられたのです。

当時問題視されたのは以下のような点でした。

• 講習会の時間が18時間に過ぎない点
• 従業員が一人の美容所は対象外である点
• 養成施設での授業内容が同一である点
• 受講者の大半が受かってしまう点

説明者の厚生労働省・松岡正樹生活衛生課長は制度の必要性や実績などを説明したのですが、仕分け委員8名の評価では、不要7名、見直し1名という結果になりました。

評価者のコメントは以下のようになっています。

• 講習の内容・意義が不明確であり、設立当時の目的ともズレてきている。
• 資格の存在意義が理解できない。
• 講習自体が不要。
• 本講習の必要性自体が明確に説得力をもって説明されなかった。そうである以上、民間の負担で独占的な事業を行わせるべきではない。
• 制度自体を一から見直す必要がある。最も有効な研修手法になるよう再検討を。
• 説明を聞いても、テキストの一部を見ても、（財）理容師美容師試験研修センターのみが実施する専門研修と判断することはできない。専修学校（養成機関）に委託することも含めて競争的環境を整備すべき。
• （見直しを行う「その他」、としたで）講習内容を精査し、公衆衛生上必要な知識なら、一人の店でも義務付けるべき。

引用元：管理理美容師　廃止へ　事業仕分けで | 理美容ニュース

結局、どうなったのか？

2010年の事業仕分けで廃止と結論付けられた管理美容師ですが、その後、どうなったでしょうか？

廃止にはなりませんでした。

つまり、現在も管理美容師資格制度は存続中。

法律の改正もなかったようで、廃止という話は有耶無耶（ウヤムヤ）になった格好です。

もちろん廃止の可能性はゼロではありませんが、今もって法令・制度ともに有効です。

ただ、将来的に制度変更が検討されるかもしれないので、関係者の方は最新の法令・都道府県の行政情報を確認するようにしておいてください。

管理美容師としての働き方は？

管理美容師資格制度が廃止にならず、ひとまずほっとしたかもしれませんね。

そのため、これから目指す人もドンドン出てくるでしょうが、そうなると、どのような働き方になるかに興味があるでしょう。

そこで、いくつかのケースを取り上げてみますから、ご参考に。

○オーナー兼管理美容師

オーナー自らが管理美容師のケースです。

自分の店舗を経営しながら管理美容師として働き、経営と現場責任の両方を担います。

○雇用されている管理美容師

美容室に雇用される形で管理美容師として働く場合があります。

この場合は、店長・副店長、チーフスタイリストなどの立場で働くことになるでしょう。

サロン運営やスタッフ教育にも深く関わり、シフト管理や会議への参加も増える傾向にあります。

○複数店舗の管理

チェーン展開している美容室では、管理美容師が複数店舗の管理をすることがあります。

各店舗を巡回しながら働くことになり、活躍の場も広いです。

○独立開業

管理美容師がヘアードレッサーとして独立開業するケースもあります。

この場合、自身がオーナー兼管理美容師として経営することになり、自由度が高いですが、衛生面・経営面の全責任を負わなければいけませんね。

○フリーランス・業務委託

管理美容師として、フリーランス・業務委託で働く場合もあります。

資格を活かしながら、複数サロンの衛生顧問などを行うケースもあるでしょう。

美容学校や講習会の講師として活動する道もあります。

管理美容師の給料に関して

当面廃止の予定がないのが管理美容師ですから、長い間安心して働けるでしょう。

そうなると目指す方も増えるのではないかと思われますが、その際に関心があるのが管理美容師の給料がどのくらいか？

具体的な数値を確認してみましょう。

正確なデータはないが

管理美容師だけを対象にした給料の正確なデータはないようです。

そこでまず、ヘアードレッサーの給料がどのくらいになっているかを確認した上で、管理美容師の給料の額を推測してみましょう。

「リジョブ」に掲載されている求人情報を参考にしてみると、ヘアードレッサーの給料の額は次のようになっています。

2024年1月現在では、正社員のアシスタントの平均給料額は233,852円、スタッフは321,056円でした。

管理美容師の場合は、この平均額にプラスαがあるでしょう。

資格手当や役職手当が支給されるので、収入アップが期待できます。

どのくらいの額になるのかは正確には示せませんが、目安として約300万円〜450万円程度にはなるのではないでしょうか？

ただし、地域（都市部 vs 地方）、店舗の規模（スタッフ数・チェーン店かどうか）、売上・指名数などによって給料が大きく異なります。

管理美容師に求められる資質やスキルは？

廃止にならないのならぜひ管理美容師になってみようという方もいるでしょう。

そこで知りたくなるのが管理美容師に求められる資質やスキル。

どのような資質やスキルが必要なのか、ここで確認しておきましょう。

責任感

管理美容師になるに当たって、責任感は最も重要な資質と言えるかもしれませんね。

管理美容師は美容所の衛生管理や安全確保を担う立場にあり、店舗内の清潔さや器具の消毒、感染症対策など、利用者の健康と安全を守る役割を果たします。

そのため、日々の小さな作業にも気を配り、妥協を許さない姿勢が求められるのです。

また、万が一トラブルが発生した場合には、その原因を迅速に把握し、的確な対応を行う冷静さも必要です。

こうした責任感は、単に規則を守るだけでなく、スタッフ全員に「安心して働ける環境」を提供するという意識の表れでもあります。

公衆衛生と衛生管理に関する専門的な知識と実践力

管理美容師は美容師法に基づき、御客様に安全で衛生的なサービスを提供するための責任者です。

これには、器具や設備の正しい消毒方法、店内の適切な換気、清掃の徹底といった具体的な衛生措置に関する深い知識が求められます。

特に、感染症が懸念される現代において、最新の衛生基準や感染症対策に関する知識を常にアップデートし、スタッフ全員に正確に教育・徹底させる指導力が欠かせません。

この実践力は御客様からの信頼を築く土台となります。

リーダーシップ

リーダーシップも管理美容師に求められる資質です。

管理美容師はサロン内のまとめ役として、スタッフ一人ひとりの個性や能力を把握し、チーム全体が調和して働けるように導く役割を担っています。

それがまさにリーダーシップですが、美容の現場では技術力や感性に差があるのは当然であり、その違いを否定するのではなく、うまく活かすように持っていくことが大切です。

そのためには、指示命令型のリーダーではなく、対話を重視し、相手の意見を尊重しながら信頼関係を築くコミュニケーション能力も不可欠になってきます。

また、スタッフの悩みを聞き、モチベーションを高めるメンタルサポート役を担うこともあるでしょう。

管理美容師のリーダーとしての姿勢が、職場の雰囲気やサービスの質にも大きく影響し、スタッフが働きやすい環境を作っていくのです。

法令や規範に対する理解と遵守の意識

管理美容師には、法令や規範に対する理解と遵守の意識も求められます。

美容師法をはじめ、衛生管理に関する各種規定や自治体の条例を正しく理解し、それを現場に適切に反映させる能力が必要なのです。

例えば、消毒方法の指導や感染症拡大防止のための行動指針をスタッフに徹底することは、顧客だけでなく従業員を守ることにも繋がる大事な要素。

こうした法的知識を持ち、常に最新の情報を学び続ける姿勢が、管理美容師としての信頼を支えることになります。

人間的魅力

管理美容師としての資質として見逃せないのが人間的魅力です。

管理美容師が穏やかで誠実な人柄を持っていれば、スタッフも御客様も自然と信頼を寄せるようになります。

感情の起伏が激しい環境でも、落ち着いた態度で対応し、相手の立場を思いやる姿勢がサロン全体の空気を和らげることになるのです。

こうした人間性の深さは、どれほど優れた技術や知識を持っていても短期間で身に付くものではなく、日々の経験を通じて磨かれる資質です。

ヘアードレッサーとしての基本スキル

管理美容師もヘアードレッサーですから、ヘアードレッサーとしての基本スキルである高度な技術力とデザイン力は欠かせません。

御客様の要望を正確に把握し、骨格や髪質に合わせた最適なスタイルを提案・実現できる卓越した技術は、管理職としての説得力と信頼に直結します。

これに加え、トレンドを敏感に察知し、それを技術やデザイン、店舗サービスに取り入れる向上心と学習意欲も大事ですね。

高いコミュニケーション能力と接客力

管理美容師はスタッフの指導に当たるだけでなく、御客様に接しながら施術も行います。

そのため、高いコミュニケーション能力と接客力はとても重要な資質です。

御客様の悩みに寄り添い、安心感を与える丁寧な傾聴力と、プロとして適切なアドバイスを分かりやすく伝える表現力は、リピーターの獲得と顧客満足度の向上に繋がります。

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