小さなサロンには大きなサロンにはない経営上の苦労があるものです。
大きなサロンではできることでも、小さなサロンにはできないこともあります。
それだけに、小さなサロンが勝ち残るのは大変なことです。
そこで今回は、「小さなサロンが勝ち続けるための経営戦略〈ランチェスター戦略〉」と題して、具体的な戦略を紹介しましょう。
ランチェスター戦略とは?

まずは、ランチェスター戦略について、カンタンに説明しておきましょう。
相手に勝つための戦略体系
<ランチェスター戦略>を一言で言い表すと、相手に勝つための戦略体系を構築することです。
その構築では、弱者と強者に分類をし、それぞれが取るべき戦略を理論化しています。
弱者が取るべき戦略としては広域戦を避けて局地戦に持ち込むこととされ、強者は局地戦よりも、エリア・サービスの範囲拡大を目指すべきとされています。
本記事は、小さなサロンが生き残るための<ランチェスター戦略>を説くものですから、弱者の理論の方を考えることになるでしょう。
ランチェスター戦略に基づくと、小さなサロンは局地戦、つまり特定の分野や地域に集中し、差別化戦略を構築しながら相手に勝つべしということになります。
詳細はこれから解説していきます。
大手の戦い方と、小さなサロンの戦い方の決定的な違い

一口にサロンといっても、「大手サロン」「中規模サロン」「小さなサロン(個人サロン)」など、様々な規模があります。
それぞれが置かれた状況は全く異なり、経営戦略も変えていかなければいけません。
その違いを確認してみましょう。
資金力が違う
まず、掛けられるお金がサロンの規模によって違いますね。
大手サロンの場合、莫大な資金力を背景に広告でも運営でも採用でも思い切った戦略を打てます。
市場における認知拡大のための作戦も大がかりなものになることがあるでしょう。
小さなサロンにはそのような資金力はありません。
広告や運営や採用で大手並みに資金を掛けようとすれば、無理がたたって、経営が行き詰まることにもなるでしょう。
販売方法が違う
販売方法による違いもあります。
大手サロンの場合、薄利多売による販売をすることも多いです。
大胆なキャンペーンを打ちながら、価格における特典を大きく打ち出し、お客様にアピールすることもよくあります。
大手サロンの場合、客数が多くなるので、このような戦略が可能なのです。
小さなサロンでは、そのような薄利多売をしにくくなっています。
客数に限界があるので、大手のような大胆なキャンペーンも打ちにくいです。
そのため、特定のお客様から確実に売上を上げていくことになります。
サービス展開の違い
大手サロンと小さなサロンでは、サービス展開も違ってきます。
大きなサロンは広い店内、豊富なスタッフ数、本部からの充実のサポートなどにより、サービスの数も増やせるし、バラエティに富ませることもできます。
小さなサロンではそうもいきません。
店内の広さも限られていますし、スタッフ数も少なく、資金力も十分ではありませんから、サービス数も控えめになり、特定のサービス提供に搾った展開になるでしょう。
だからこそのランチェスター戦略
大きなサロンと小さなサロンの経営上の戦略の違いを見てみましたが、このような違いがあるからこそ、ランチェスター戦略が必要になってきます。
ランチェスター戦略では、弱者は限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ・時間)を活かしながら、特定の分野・領域に一点集中すべきとしています。
それはとりもなおさず局地戦におけるナンバーワンのポジションを獲得することを意味するのです。
このような戦略が小さなサロンが生き残るための最強のアプローチとも言えるでしょう。
ターゲットを絞ってみる

ランチェスター戦略をサロン経営に落とし込む際、最も重要になるのが「ターゲットをいかに絞っていくか」というポイントです 。
しかし、サロンオーナーが心配するのは、「ターゲットを絞ると、その分だけお客様の数が減ってしまうのではないか」ということではないでしょうか?
その気持ちは理解できますが、小さなサロンのキャパシティを考えてみてください。
小さなサロンはスタッフの人数も少ないでしょうから、大勢のお客様に対することは不可能です。
一日に何十人ものお客様に施術やサービスを提供するなど、無理でしょう。
そうなると、限られたお客様だけに丁寧に施術していくことになります。
この「限られたお客様」というところがポイントです。
限られたお客様に訴えかけるのに、万人受けするメニューやサービスを用意する必要はありません。
ターゲットを絞り込んで、そのターゲットが喜んでくれるメニューやサービスを提供すればいいのです。
アピール対象が絞られると、特定の悩みや要望にも対応しやすくなり、ターゲットにとってかけがえのないサロンにもなります。
再利用意向も高まると共に、客単価の上昇も期待できますね。
仮に個人サロンで一日に対するお客様の数が2~3人だったとしましょう。
かなりターゲットが絞られている状態ですが、それでも客単価が高くなれば、採算も取れるので、経営も順調に進みやすくなります。
専門性を追求し、価格競争の罠に陥らない

サロンのメニューを紹介するときに小さなサロンが間違えやすい点として、「フェイシャルも、ボディも、脱毛も、リラクゼーションも、全部できます」とアピールしてしまうことです。
確かに何でもできるとしている方が、お客様に対して親切なように思えますし、応用範囲が広いということで、好評になるのではと考えたくもなるでしょう。
しかし、ここは落とし穴でもあるのです。
SNSなどでこの「何でも屋」のPRをしてしまうと、サロンの「専門性」がどんどん薄れていってしまいます。
専門性が薄れることは小さなサロンの生命線を失うことにも繋がりかねません。
小さなサロンにとっての生命線は、「いかにこの専門性に特化しているサロンであるか」をお客様にしっかりと伝達すること。
これができないと、お客様へのアピール度が大きく低下し、集客に悪影響があります。
例を挙げてみましょう。
ドライヘッドスパサロンの場合、「リラクゼーション全般を扱っています」としたのでは、専門性が全くありません。
それよりも、「脳疲労をリセットし、極上の爽快感を提供する」とアクセントのある表現で、専門性をアピールしてみてはいかがでしょうか?
他業種サロンでも同じです。
特定のメニューをいくつか打ち出しながら、オリジナルサービスを提供していることをお客様にアピールすることで、ターゲットの注目を集めやすくなります。
また、これは他サロンとの差別化にもなります。
小さなサロンの独自メニュー、他サロンでは提供していないメニューとして、大きなアピール材料にもなるでしょう。
これは価格競争の罠に陥らないためにも必要なことです。
どのサロンも同じようなメニュー・サービスを提供しているとなると、後は価格で勝負するしかなくなります。
価格を下げてお客様を集めるしか手段もなくなり、それが経営を圧迫することになるのです。
その点、専門性を追求した小さなサロンなら、そのような価格競争に関わらなくて済みますね。
「私のサロンだけのメニュー、サービスですよ」ということで、お客様の目を惹きやすくなります。
まさにランチェスター戦略における「特定の分野に一点集中」という点に繋がり、局地戦における最強の戦略にもなるでしょう。
勝てるターゲット選定(セグメンテーション)の3ステップ

これまでの説明で、小さなサロンにとってターゲットを絞って、専門性を追求することの重要性がお分かりになったでしょう。
そこで課題になるのが、どのようにターゲットを絞り、ターゲット設定をし、専門性を追求するかのステップを知ることです。
ここでは、そのステップを具体的に紹介しましょう
ステップ1:お客様の「深い悩み」から逆算する
小さなサロンがターゲットを絞る際は、まずお客様の「深い悩み」から逆算するのがおすすめです。
お客様毎に様々な悩みを抱えているもので、そのお悩みを想像して、リストアップしてみましょう。
フェイシャルを例に挙げてみると、「乾燥」「シミ」「シワ」「たるみ」「小顔」「毛穴」などのお悩みが考えられます。
これらのお客様のお悩みと自分の得意分野を見比べてみましょう。
うまく呼応する分野があるか確認し、このお悩みなら私の技術で解決できそうだわという点に絞り込んでみることが大事です。
その分野に特化すれば、対象となるターゲット設定もしやすくなるでしょう。
ステップ2:「性別」と「年齢層」を限定する
お客様のお悩みからターゲットの逆算ができたら、今度は「性別」と「年齢層」を限定してみましょう。
例えば、「乾燥肌」というお悩みがあったとします。
しかし、乾燥肌に悩んでいる性別も年齢層も様々です。
20代男性・女性もいれば、30代男性・女性もいるでしょうし、40代でも50代でも性別に関係なく、悩んでいる人はいるものです
性別と年齢層の限定は、お客様が来店したときの気分の問題とも関係してきます。
20代女性のお客様が多く来店しているサロンがあるとして、そこに50代男性のお客様が心地よく通えるでしょうか?
無理ですね。
そのため、年齢と性別を正しく限定し、照準を絞り込むことがお客様のためにもなるのです。
そこでポイントになるのが、性別と年齢層を限定する際に、そのターゲット層以外を捨てる勇気があるかどうかです。
ややもすると、性別と年齢層を限定しながらも、他のターゲット層への未練を捨てきれないことがあります。
しかし、これはいいことではありません。
小さなサロンが性別と年齢でターゲットを絞った場合、それにふさわしい内装・BGM・室内環境・メニュー・サービスを用意するものです。
それにそぐわないお客様まで相手をしてしまうと、お客様の方でも戸惑うこともあるでしょうし、落ち着かない気分にもなります。
そんな気分を味わったお客様はリピートしてくれませんから、お店の売上にもプラスにはなりません。
それよりも、性別と年齢層を具体的に限定し、その相手にふさわしいサービス提供をする方がおすすめなのです。
ステップ3:「職業・ライフスタイル・収入」を特定する
さらにターゲット設定の解像度を上げてみましょう。
まず、職業などの特定から。
小さなサロンとしては、「どんな職業の人でも受け入れますよ」としたいところでしょうが、ここも絞り込みたい部分ですね。
事務職か営業職か販売職か自営業か主婦かなど、職業によってお悩みの種類も変わってきます。
職業をあまり絞り込みすぎると、対象のお客様が少なくなってしまうので、程度問題ではありますが、ある程度の照準を定めることで、提供すべきメニューやサービスの方向性も見えてくるでしょう。
小さなサロンが提供できるメニューやサービスには限界もありますから、お客様の職業に応じた展開をしないといけませんね。
次はライフスタイルの問題。
小さなサロンとはいえ、様々なライフスタイルを持っているお客様が来るものです。
生活習慣も仕事の環境も人間関係も趣味も住まい環境も価値観もいろいろあるでしょう。
そのような様々なライフスタイルを持っている人全てをターゲットにしてしまうと、照準がぼやけ、集客の方向性が見えてきません。
そこで行いたいのがライフスタイル分析です。
お客様のライフスタイルを分析し、それぞれに応じたメニューやサービス開発をして、アピールしていけば、小さなサロンの集客も成功するでしょう。
収入によるターゲットの絞り込みもしたいですね。
どの程度の収入がある人をターゲットしたいのかによっても、小さなサロンの運営形式が変わってきます。
何も小さなサロンだから収入が少ない人だけをターゲットにしなければいけないということはありません。
収入が多い人も狙って戦略構築をしても構わないので、メニューやサービス内容を工夫しながら、照準を絞ってみましょう。
広告・SNS戦略とオンラインマーケティングの繋がりを意識しよう

ターゲティングがしっかりとできれば、次に考えるべきは「自分の得意分野をどうアピールしていくか」というSNS戦略や広告戦略です。
ターゲットと自分の得意分野を合致させながらアピールしていくSNS戦略や広告戦略とも言えます。
ここで気をつけなければいけないのが、ターゲット設定が確立せず、自サロンの専門性も確保できないまま、安易にSNSや広告に手を出すことです。
小さなサロンとしては、どうしてもSNSや広告で広くアピールして、集客をはかどらせたいと思うでしょうが、準備が整う前に取り組むのは早計です。
それでは、思うような集客に繋がりません。
そのため、なるべく具体的なターゲティングをして、自らの専門性を確立してから、上記のような戦略を打ってみるのが正解です。
ターゲットが明確になれば、オンラインマーケティングの戦略も自然と定まります。
小さなサロンがWeb集客する場合、CVR(コンバージョン率)をいかに高めるかも課題ですが、検索キーワードの意図とLP(ランディングページ)のメッセージを完全に一致させることがポイントになります。
サロンの専門性か確立されていると、「地域名+サロン」という漠然としたキーワード検索ではなく、もっと具体的な検索対象に選ばれやすくなるでしょう。
例えば、「地域名+40代+目元たるみ」といった感じですね。
より具体的で購買意欲・来店意欲の高いキーワード戦略が立てやすくなります。
検索キーワードとメッセージの一致により、広告の費用対効果は劇的に向上します。
リピート構築から広がる事業展開の未来

ターゲティングと専門性の確立により、小さなサロンでも集客に成功するだけではなく、高単価な優良顧客の獲得に繋がることがあります。
そこで大事になってくるのが「勝ち続けるためのリピーターづくり」です。
小さなサロンにとっては、新規顧客の獲得が全てではありません。
新規顧客が集まっても、リピートしてくれなければ、売上はだんだん下がってしまい、経営も傾いていくのです。
新規顧客獲得だけでは、経営は維持できませんね。
では、「勝ち続けるためのリピーターづくり」とは何なのかというと、確かな技術力に裏打ちされた施術やサービスの質、施術やサービスを提供する上での基盤になる知識、接客やおもてなしでお客様に感動を与えるような包容力と言ったところでしょうか?
このような能力に基づいたサービス展開をしていけば、小さなサロンへのお客様のリピート意向も大いに高まるでしょう。
そして、小さなサロンがこの「高単価・高リピート率・専門特化」を確立し、集客に成功し、売上を伸ばしていくと、一つのパッケージとしての成功モデルも作成できます。
パッケージ化により、多店舗展開やフランチャイズ展開する可能性も夢ではなくなるかもしれません。
小さなサロンとしての成功が先決ではあるものの、ターゲティング、専門性の追求、リピート作りから、大きなチャンスが広がることもあるのです。
総括

小さなサロンが勝ち続けるためには、ランチェスター戦略に基づいて、弱者の戦略を実践することが欠かせません。
大手の資金力に太刀打ちしようなどとは考えずに、独自の専門領域(セグメント)を見つけ出し、ターゲットを絞り込む勇気を持つことが大事。
このような弱者の戦略こそが、高い単価と熱狂的なリピーターを生み出す源泉となります。
ぜひ、皆さん方のサロンでもランチェスター戦略による成功への道を進んでください。
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