偽装請負になる判断基準は?よくあるパターンや罰則・判例を徹底解説

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偽装請負になる判断基準を教えて!


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「偽装請負とは何?」と聞かれて、答えられる方はいらっしゃいますか?

「答えられない」という方の方が多いかもしれませんね。

そこでまずはその意味を解説しますが、実は偽装請負は違法行為なのです。

言葉のニュアンスからもその点を想像できるかもしれません。

今回は、そんな偽装請負の意味に続いて、どのような業務形態が偽装請負に該当するのか判断基準も示そうと思います。

偽装請負のよくあるパターン、伴うリスク、回避策なども併せて紹介するので、関係者の方はぜひ参考にしてください。

目次

まずは偽装請負とはどういうこと?

まずは偽装請負とは、どういうことでしょうか?

偽装請負という言葉を文字通りに読み解くと、「請負を偽り、装うこと」となります。

ただ、これだけではわかったようなわからないようなということにもなるでしょうから、その意味から詳しく解説しましょう。

 

請負契約になっているにもかかわらず、実情が違う状態

偽装請負👉契約上は「請負契約」や「業務委託契約」になっているにもかかわらず、働き手を派遣先で働かせる派遣契約のようになっている状態。

本来請負契約では、仕事の進め方や働き手の指図を出すのは請負先側になっていて、働き手は成果物を納めるようになっています。

これが原則中の原則ですね。

一方で、労働者派遣の原則は、派遣先事業者が働き手に直接指図を出すこと。

それぞれ指図系統が全く異なっていますが、偽装請負の場合、ここが渾然としています。

契約書上は請負になっているにもかかわらず、実際には派遣先事業者が働き手に指図を出している実情になっているのですね。

時には勤務時間や作業手順まで事細かに指図することもあり、これはまさに派遣状態です。

 

偽装請負における数々の問題点

偽装請負という言葉にもネガティブなニュアンスが含まれるように思われるでしょうが、実際に偽装請負には数々の問題点が隠されています。
まず偽装請負では、働き手は基本的に福利厚生や手当を受けられません。

通常の派遣であれば、派遣元の福利厚生や各種手当を受けられるのですが、そのような適用がないのが偽装請負。

事業者としてはコスト削減ができるのでおいしいということにもなるでしょうが、働き手は損をする形になります。

次に通常の派遣では、特別な理由がない限り、契約の解除はできないことになっています。

しかし、偽装請負においては、派遣のように働き手を働かせながら請負契約になっているので、契約解除がカンタンにできてしまうのが大きな問題でしょう。

働き手に不当な負担が生じやすいのも偽装請負ですね。

通常の派遣では、働き手の過失がない限り、損害賠償責任は事業者側にありますが、偽装請負では、業務上の不利益や損害の責任が働き手に及ぶかもしれないのです。

労働基準法で禁止されている「中間搾取」の問題もあり、請負契約が複数事業者によって断層式になっている場合、契約関係が複雑になりやすく、中間マージンも発生。

これで働き手の給与が減ってしまうかもしれません。

事業者によってはこの仕組みを悪用し、関与事業者を増やすことでごまかそうとするケースもあるらしいです。

これは中間搾取の典型とも言えます。

以上のように請負契約には、働き手にとってのサマザマな問題が発生します。

事業者側にとってのリスクについては、後ほど説明しましょう。

 

偽装請負でよくあるパターン

偽装請負にはいくつか典型的なパターンがあります。

そのほとんどが表面上は「請負契約」や「業務委託契約」と偽りながら、実情は派遣と同じ「指図下で働く働き手」になっているのが特徴です。

そのようなよくあるパターンで特に問題視されるものを取り上げてみましょう。

 

代表型

偽装請負のよくあるパターンの第1が<代表型>です。

代表型👉請負契約を装っていながら、発注元があれこれ口を出すパターン。

働き手に業務の細かい指図を出したり、働き手の出退勤管理に関わってきたりなどのパターンです。

最もよくありがちな偽装請負のパターンですね。

 

形式だけ責任者型

偽装請負のよくあるパターンの第2は<形式だけ責任者型>です。

このパターンでは、名称が示すように現場に一応責任者を置いているのは確か。

ただし、その責任者の実情が問題ですね。

「形式的」というように、責任者は形だけの存在であり、実際には発注元の指図を働き手に伝えるだけです。

責任者自体には、指図権限がない状態です。

このパターンは単純業務などでよく見られます。

 

使用者不明型

偽装請負のよくあるパターンの第3は<使用者不明型>です。

使用者不明型👉使用者が誰だかわからなくなるパターン。

例を挙げて説明しましょう。

発注元のAが業者Bに仕事を発注し、さらにその仕事を業者Cに請け負わせたとします。

ここで、業者Cに雇用されている働き手DがAの現場に行き、仕事をしたとしましょう。

この場合、Aが指図を出したりBが指図を出したりなど、渾然としやすいです。

その為、使用者が不明になるのですが、これも偽装請負の典型パターンです。

 

一人請負型

偽装請負のよくあるパターンの第4は<一人請負型>です。

これは個人事業主として請負契約を結んだ働き手に発注元が指図を出すパターン。

やはり例を挙げてみましょう。

発注元A社が働き手をB社で働くように斡旋したとします。

ところが、B社はここで働き手と労働契約を結びません。

代わりに個人事業主との間の請負契約として、あれこれ指図を出すのです。

 

偽装請負の判断基準は何?

ここからは記事の主テーマ、<偽装請負の判断基準>について考えてみましょう。

偽装請負にはサマザマな問題点やリスクをはらんでいるので、事業者としてもそのような業務形態を避けるべきでしょうね。

そこで課題になるのが、自社の業務形態が偽装請負に該当するのかどうかの判断基準を把握しておくこと。
偽装請負にあたるかどうかの判断基準では、契約の形式は関係なし(請負契約だとして)。

業務の実情がどうなっているかがポイントで、指図関係があるかどうか、請負業者として独立性があるかどうかなど、いくつかの要素が総合的に勘案されます。

その中の特に重要な判断基準は以下の通りです。

 

指図系統の有り様はどうなっているか?

まず、偽装請負の判断基準の核心的ポイントは指図(指揮命令)系統の有り様です。

本来の請負では、請負先が働き手に対して自ら指図を行い、発注元は成果物に対してのみ要求を行うのが基本です。

ところが、作業現場で発注元の担当者が日々の作業内容・優先順位・具体的な指図・勤務時間や休憩の取り方まで細かく指図しているケースがあります。

これでは、派遣と変わりませんから、偽装請負と判断されるでしょう。

同じように、請負先の責任者が現場にほとんど常駐せず、実質的に発注元が働き手を管理している場合も偽装請負の疑いが強まります。

 

業務遂行の独立性が担保されているか?

次に重要なのが 業務遂行の独立性 で、まっとうな請負契約では、請負先側が責任を持って、業務の進め方・手順・使用する機材・品質管理・工程管理などを独自に決定します。

ここに発注元が割り込むことはありません。

ところが、発注元側が作業工程を細かく規定し、各管理状況をいちいち指揮し、その通りにしなければ作業ができないというのでは、請負先側の裁量は実質的に存在しないも同然ですね。

これでは、請負とは認められません。

請負先側が自社の判断で成果物に責任を負い、品質不良があれば自身で手直しをするなど、業務責任をしっかり担当しているのなら、偽装請負と判断されないでしょう。

 

労務提供の責任者がいずれか?

労務提供の責任者がどちらになるかも、偽装請負の判断材料になり得ます。

派遣では個々の働き手が労務そのものを提供し、人員の選定や交代の責任は発注側に所属するのがよくあるパターン。

一方、請負では、請負先側が人員配置について自由に決定し、適切な人材をあてがうようにします。

もし発注元が「この人を特に入れてほしい」「この人は除外してくれ」などと、労務提供者を直接指図するような状況では、偽装請負と判断されやすいです。

 

成果物責任と対価の支払い方法がどうなっているか?

成果物責任と対価の支払い方法 も偽装請負かどうかの判断の分かれ目です。

正当な請負契約では、成果物や業務完了に対して報酬が支払われます。

ところが、実際には時間単価で報酬を支払ったり、欠勤・遅刻・早退によって報酬が減額されたりするようなことがあると、労働力の提供となり、請負契約とは違うパターンになるでしょう。

この場合、実質的には派遣契約のようになっているので、契約上は請負であっても該当しなくなります。

つまり、偽装請負と判断されることになるでしょう。

 

客先常駐では?

客先常駐では、偽装請負と判断されやすいので要注意です。

客先常駐👉請負先の働き手が発注元事業者の常駐先に出向いて、働くこと

この場合、よく起きるのが常駐先の担当者から働き手に直接指図があることでしょう。

その他、次のような例も偽装請負と判断されやすいですね。

  • 請負先の働き手に常駐先の勤務規則が適用されている
  • 請負先の働き手が常駐先の決めた勤務時間の間、常駐先のオフィスに滞在することを強制されている
  • 請負先の働き手が仕事の手順や時間配分について、常駐先から事細かに指図を受けている

 

厚生労働省の告知も判断基準に

偽装請負かどうかの判断基準を考える際には、厚生労働省の<労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準>(37号告示)も参考にしてみましょう。

この基準は、労働者派遣事業なのか、請負(業務委託)なのかを区別する為の判断のものさしを示したもので、特に偽装請負を防止する目的で整備されました。

その内容をまとめてみましょう。

 

疑義応答集ではどうなっている?

<労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準>の冒頭に疑義応答集(Q&A)が掲載されています。

偽装請負かどうかを判断する上での参考になるQuestion&Answerが示されているので、要約して取り上げてみましょう。

発注元の担当者が請負先の働き手と日常的な会話をするくらいなら、問題ないか?

業務に関係のない日常的な会話なら、発注元が請負先の働き手に対して指図を行ったことにはならないので、偽装請負ではない。

欠陥商品が発生し、その原因が請負事業主の作業工程にあったと判明。ここで発注元が請負先事業者に作業工程の見直しや欠陥商品を製作し直すことを要求すると、偽装請負になるか?

直接の指図には当たらないので、偽装請負にはならない。ただし、発注元が直接、請負先の働き手に作業工程の変更を指図したり、欠陥商品の再製作を指図したりした場合は、直接の指図に該当することから偽装請負と判断されることになる。

発注元から大量の注文があり、請負先の働き手だけでは処理できないときに、発注元の働き手が請負先事業主の作業場で作業の応援を行った場合、偽装請負となるか?

発注元の働き手が、請負先事業主の指図の下、請負先事業主の請け負った業務を行った場合は、発注元が派遣元事業主、請負先事業主が派遣先となる労働者派遣に該当。労働者派遣法に基づき適正に行われていない限りは違法となる。なお、請負先事業主では大量の注文に応じられないことから、従来の契約の一部解除や変更によって、請負先事業主で処理しなくなった業務を発注元が自ら行うこととなった場合等は、変更等の手続が適切になされているのであれば、特に違法ではない。

請負先事業主の管理責任者が作業者を兼任する場合、管理責任者が不在になる場合も発生するが、請負業務として問題ないか?

請負作業場での作業の遂行に関する指図、請負の働き手の管理、発注者との注文に関する交渉などの責任を負えれば問題無し。ただし、請負先の働き手の管理等ができないのであれば、管理責任者とはいえず、偽装請負と判断される。さらに、請負作業場に、作業者が1人しかいない場合で当該作業者が管理責任者を兼任している場合、実情的には発注者から管理責任者への注文が、発注元から請負先の働き手への指図となることから、偽装請負と判断される。

この他にも多数の質問が疑義応答集に掲載されていますから、偽装請負かどうかを判断する際の参考にしてください。

 

条文の取り決めでは?

<労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準>の条文では、請負と派遣契約の区別についてのルールが示されています。

その第二条によると、請負であっても次の場合は、事業主による労働者派遣事業になるとしていますが、引用してみましょう。

一 次のイ、ロ及びハのいずれにも該当することにより自己の雇用する働き手の労働力を自ら直接利用
するものであること。

  • イ(1)労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うこと。
  • (2)労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行うこと。
  • ロ(1)労働者の始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等に関する指示その他の管理(これらの単なる把握を除く。)を自ら行うこと。
  • (2)労働者の労働時間を延長する場合あるいは働き手を休日に労働させる場合における指示その他の管理(これらの場合における労働時間等の単なる把握を除く。)を自ら行うこと。
  • ハ(1) 労働者の服務上の規律に関する事項についての指示その他の管理を自ら行うこと。
  • (2)労働者の配置等の決定及び変更を自ら行うこと。

二 次のイ、ロ及びハのいずれにも該当することにより請負契約により請け負つた業務を自己の業務として当該契約の相手方から独立して処理するものであること。

  • イ 業務の処理に要する資金につき、すべて自らの責任の下に調達し、かつ、支弁すること。
  • ロ 業務の処理について、民法、商法その他の法律に規定された事業主としてのすべての責任を負うこと。
  • ハ(1)自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材(業務上必要な簡易な工具を除く。)あるいは材料若しくは資材により、業務を処理すること。
  • (2)自ら行う企画あるいは自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理するこ
    と。

 

偽装請負が発覚したケース

企業が偽装請負をすることは非常にリスキーなのですが、隠しきれると思ってやっているのかもしれません。

しかし、実際に様々な方面から発覚します。

そのような発覚ケースを取り上げてみましょう。

 

労災申請があった

働き手や働き手の遺族が労災申請をすることがありますが、ここで偽装請負が発覚することがあります。

労災申請が行われると、労働基準監督署が調査に乗り出します。

労働災害発生時の状況や契約内容と実情の一致状況などを確認する為です。

この調査・確認作業中に、請負契約の実態が派遣契約であったことがばれてしまうことがあるのです。

それを恐れて、企業が働き手の労災申請を妨害するなどという不届きなケースもあるとか。

このケースでは、働き手が労働基準監督署や労働局に相談に行って、偽装請負の事実が発覚することがあります。

 

告発があった

働き手や周囲の関係者からの告発により、企業が行っている偽装請負が発覚することがあります。

働き手も偽装請負については自然に気が付くことがあり、労働基準監督署や労働局に告発することがあるのですね。

最近は、インターネットの普及により、だれでも請負契約や派遣契約の何たるか、偽装請負とはどういうものかなどの情報を集められるようになっています。

発注元企業としてはごまかせるのではと思っているかもしれませんが、働き手の情報収集力も侮れません。

それだけに、告発対象になってしまうことがあります。

 

労働基準監督署による定期調査があった

労働基準監督署は定期調査・監査を行っていますが、ここで偽装請負の事実が発覚することがあります。

働き手への状況ヒアリングもありますし、勤務表やシフト表チェックもあるからです。

これでだれからの業務指図で動いているのかもわかりますし、どのようなシフト管理や勤怠管理が行われるかも担当者に伝わります。

そうなれば、偽装請負の事実を隠しようもないでしょう。

発注元企業が偽装請負を行う理由はいろいろありますが、いずれは発覚することです。

ずっと隠しておくことなどできないでしょうから、やめておくべきですね。

そこで後程、企業が偽装請負を回避する為にできることを解説します。

 

偽装請負に伴うリスクは?

偽装請負の働き手にとっての問題点を取り上げてありますが、今度は事業者側にとってのリスクを検証してみましょう。

リスクには事業者にとって大きなダメージになるものもあるので、しっかり確認しなければいけませんよ。

以下で偽装請負によりどのようなリスクが生じるのか具体的に説明しますから、注意しましょう。

 

法的リスク

偽装請負に該当した事業者の法的リスクは侮れません

サマザマな法律に違反することにもなり、罰則が適用される恐れも高いです。

そこで、どのような法律違反になるのかをチェックしてみましょう。

 

労働者派遣法違反

偽装請負を行った事業者は労働者派遣法違反に該当します。

労働者派遣事業を行う場合、本来厚生労働大臣の許可が必要。

ところが、偽装請負先はその許可を得ていませんから、違反となるのです。

無許可での労働者派遣事業を行う場合の罰則={1年以下の懲役あるいは1,000,000円以下の罰金}です。

 

職業安定法違反

請負契約のフリをしながら、実情が労働者派遣となっている場合=偽装請負ですが、職業安定法違反になることもあります。

労働者供給事業の実施および労働者供給による働き手の受け入れを一律禁止しているルールに反しているということですね。

罰則={1年以下の懲役あるいは1,000,000円以下の罰金}で、供給元・供給先の双方の事業主に対して課される恐れがあります。

 

労働基準法違反

労働基準法第6条が定めるのが「中間搾取の排除」です。

労働者供給である偽装請負で、中間搾取と判断されると、労働基準法違反となります。

罰則={1年以下の懲役あるいは500,000円以下の罰金}です。

 

経済的リスク

偽装請負の経済的なリスクも看過できませんね。

次のようなリスクが考えられます。

  • 未払賃金・残業代に関する請求があるかもしれない
  • 社会保険料の遡及徴収の可能性も
  • 労働保険料の遡及徴収の可能性も
  • 労災補償請求への対応を求められることも

正当な請負契約では発生しない事業者の経済的負担でも、偽装請負となると話が違ってきます。

働き手から請求訴訟を起こされるかもしれず、各種保険料の遡及徴収という事態もあり得ます。

 

事業者のレピュテーションリスク

偽装請負による事業者のレピュテーションリスクも深刻です。

偽装請負が発覚すると、事業者は「基本的な法律も守れないのか」「働き手を搾取しているのでは」というネガティブなイメージを持たれやすいです。

このようなネガティブイメージが浸透して、事業者にとって良い事は何もありません。

取引先からの信用を失うことにもなりかねず、お客様からの評価もがた落ちでしょう。

投資家が見る目も厳しくなります。

人材採用という面でも、優秀な人材が敬遠しがちになり、事業者の長期的な生産性に悪影響があります。

 

請負先と発注元との関係が崩れるリスクも

偽装請負が発覚した場合、請負先と発注元との関係が一気に崩れることにもなりかねません。

最悪の場合、取引の停止という事態になることもあり得るでしょう。

近年では、事業者のコンプライアンス遵守姿勢を重視するようになっています。

もし偽装請負などの問題を起こした事業者があると、それ以上の取引に消極的になるというケースもよくありますね。

 

安全衛生管理リスク

偽装請負の状態では働き手の安全衛生管理が曖昧になりがちです。

誰が安全配慮義務の責任を負うのかがはっきりせず、労働災害が発生した時の対応が後手に回ることも懸念されます。

偽装請負では、実質的な指図権限が発注元事業者にあるので、問題が生じたときに損害賠償責任の対象になってしまうこともあるでしょう。

 

働き手へのリスク

偽装請負の働き手へのリスクも説明しておきましょう。

偽装請負は、請負契約のフリをした労働者派遣です。

しかし、この状態では、正当な労働者派遣にはなっていません。

その為、働き手は労働基準法に基づいた適切な保護を受けられないのです。

時間外手当や社会保険、各種休業手当などの対象にもならないでしょう。

福利厚生も提供されない可能性が高いです。

このように厳しい労働条件の下で仕事をしなければいけないのが、偽装請負の働き手にとってのリスクです。

 

なぜ偽装請負をあえてするのか?

偽装請負にはサマザマなリスクがあるのに、なぜ事業者はあえて違法ともなっている偽装請負をするのでしょうか?

やむを得ない事情があるのかもしれませんが、どういう事情か気になりますね。

そこでその背景や事情を探ってみましょう。

 

知らず知らずのうちにやってしまった

事業者が偽装請負をしている場合、状況が分かっていない為についついやってしまったというケースがよくあります。

関連法規についての知識や理解不足、請負と派遣の違いに対する認識不足などにより、知らず知らずのうちに偽装請負になってしまっているのですね。

そのような担当者は厚生労働省の告知<労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準>についても知らないでしょう。

こんなケースもあります。

  • 発注元の方から請負先の働き手にあれこれ指図しても構わないと思っている
  • 現場の担当者が契約の内容に通じていないので、請負業者の働き手に直接指図を出してしまっている

このように知識や情報の管理がおろそかになっていると、不可抗力的に違法行為をしてしまうことがあります。

ただ、知らないうちにやった偽装請負でも法律違反であることに変わりはありませんから、罰則を科される恐れがありますよ。

 

人件費の削減

人件費の削減の為に偽装請負をやっている企業もあります。

通常、派遣契約では、事業者側に社会保険料、福利厚生費、有給休暇取得費用、残業代などのコストが発生します。

このコスト負担をなくせるのが請負契約です。

実情が労働者派遣になっていても、請負契約を装えば、事業者の経済的負担を減らせるのです。

この利点に目を付けて、偽装請負をあえてするところがあります。

 

労働者派遣法などのルールから免れる為

企業が働き手と派遣契約を結ぶ場合、サマザマな規制が課されます。

まず、派遣事業は許可制になっているので、厚生労働大臣の許可を取得しないと実施ができません。

派遣期間については3年というルールもあります。
日雇い派遣は禁止です。

その他にもサマザマな規則がありますが、この規則遵守がワズラワシイと思う事業者もあります。

その為、労働者派遣法が定める規則を回避する為に、あえて偽装請負という行為に出る企業もあるのです。

 

解雇しやすい

発注元が派遣の働き手を受け入れている場合、直接解雇はできません。

解雇できるのは派遣元事業者になります。

それでもかなり難しいケースも多いです。

どんなに解雇したくなっても、自由にはできないのですね。

請負の働き手の場合は、「契約不適合責任」を理由に一方的に辞めさせるケースもあります。

このように働き手を扱いやすいということから、偽装請負に走る事業者もあります。

 

偽装請負を回避する為にできることは?

あえて偽装請負をやっている事業者もあるものの、最終的には指導や罰則を受けることになり、事業者に対するダメージも計り知れないでしょう。

だからこそ、回避しなければいけませんね。

そこで偽装請負にはならず、正当な契約形態にするにはどうすればいいのかを考えてみましょう。

 

請負や派遣に関する知識を得る

企業が偽装請負を回避する為にまずするべきことが、請負や派遣に関する知識を得ることです。

何も知らないようでは、ついつい偽装請負になってしまうことがあります。

では、どんな知識がポイントになるかというと、最低限以下のことを知っておかないといけません。

請負契約では、発注元が請負先の働き手に直接指図はできない。

これだけは押さえておきましょう。

しかし、この知識だけでは十分とは言えません。

この記事で紹介した「偽装請負の判断基準」をもう一度おさらいすると共に、他の参考情報にも照らし合わせながら、必要な知識と情報を仕入れてください。

 

偽装請負になる要件を知る

請負や派遣に関する知識を仕入れた際は、偽装請負に該当する要件を確認してみましょう。

すでに説明したような「発注元が請負先の働き手に直接指図をする」ことを含めて、サマザマな偽装請負の要件があります。

この点について特に参考になるのが、本記事でも紹介した<労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準>の疑義応答集。

同応答集には、偽装請負と見なされるかどうか、サマザマな質問に対する回答が示されているので、自社の業務形態に照らし合わせることができるでしょう。

 

請負契約の内容を明確にする

請負契約を結んでいるのに、実情が労働者派遣となっているのが「偽装請負」。

作業の進捗状況によって、そうなってしまうこともあります。

そのような事態を避ける為にも、働き手と請負契約を結ぶときの契約内容を明確にしておかないといけません。

仕様書なども詳細に詰めておき、業務の変更が生じたときのルールもしっかり定めておきましょう。

その契約書に、発注元が請負先の雇用している従業員に指図権限を持っていることをうかがわせる条項が含まれていては駄目。

これでは、偽装請負そのものですから、条文を間違いのないように作成しましょう。

偽装請負を匂わせるような条文が少しでも含まれていれば、排除してください。

これが後で偽装請負トラブルになってしまうのを回避する道でもあります。

 

就業環境に注意する

偽装請負になりやすいケースとして、請負会社の働き手が発注元の事業者へ行って作業を行う場合があります。

このようなケースでは、発注元の事業者担当者が請負先の働き手に指図を下すことが起こりやすいです。

そこで必要になるのが、働き手が発注元の指図に従って業務を行っていないことを客観的に説明できるような環境をキープしておくこと。

できれば、発注元の働き手と請負先の働き手が混在した状態はなくしたいですね。

その方法はいくつか考えられますが、例えば机の配置の工夫なども方法の一つです。

発注元の働き手が就く机と請負先の働き手が就く机を区別するように配置してみてはいかがでしょうか?

こうすれば、発注元側から直接請負先の働き手に指図を下す状況を回避しやすくなります。

 

発注元ができることを確認しておく

請負契約において、発注元ができることとできないことがありますが、できることも確認しておきましょう。

次のようなことをできます。

  • 働き手に成果物の納品を求める
  • 成果物の納品に対して報酬を支払う
  • 新しい設備の使用について説明するのは可
  • 新商品の製造着手時、技術指導するのも可
  • 安全衛生上緊急対処ができる
  • 成果物にミスや欠陥が発見された場合、発注元は請負人に対して修繕を要求したり、損害賠償を請求したりすることも可
  • 発注元の意向で損害を賠償した上で、いつでも契約を解除することができる

この辺のルールを押さえた上での請負契約にすれば、偽装請負にはなりにくいでしょう。

 

作業現場の実情を把握する

企業の方で偽装請負にならないように全力で努力しても、現場がそれに倣ってくれなければ意味がありません。

そこで必要になるのが、作業現場の実情を把握しておくことです。

現場で、発注元の担当者が請負先の働き手に指図を出していることはないでしょうか?

このような状況が分かり次第、是正させましょう。

請負先も働き手の常駐先での作業の様子について報告を受ける必要があります。。

現場の実情を知るという点では、経営陣による抜き打ち調査も効果的です。

担当者からヒアリングしただけでは、表面的な状況しか伝えられない恐れがあります。

もっと真の状況に迫る為にも、抜き打ち調査もしてみましょう。

現場の発注元の担当者に偽装請負に関する法律上のルールを浸透させることも大事なポイント。

企業の方がルールを把握していても、現場担当者は知らないというケースはよくあります。

それでは、ついつい偽装請負状態になってしまうことがあるので、現場の担当者にしっかりルールを認識させる必要があるのです。

 

弁護士への相談もあり

偽装請負に関する法律やルール、事業者側が自ら学習することもできますが、素人故の限界もあるでしょう。

わかったつもりでいても、盲点もあるものです。

そのようなときに頼りにしたいのが雇用・業務委託・請負などに基づく労務管理に通じた専門の弁護士です。

これらの問題は事業者が抱えているもののなかでもかなりセンシティブであり、扱いが難しいこともあるでしょう。

請負先やその働き手との間でトラブルが発生することがあるかもしれません。

そんなときに適切に対処したければ、信頼のできる弁護士に相談したいところ。

専門の弁護士なら、素人考えでは思いつかないような解決策も提示してくれるでしょう。

 

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ヘッドミント 千駄木店東京都文京区千駄木2-13-1 ルネ千駄木プラザ227号室
ヘッドミント 大宮西口店埼玉県さいたま市大宮区桜木町2-2-7  AOYAMA808ビル4F
ヘッドミント 浦和店埼玉県さいたま市浦和区東仲町8-2 大堀ビル202
ヘッドミント 春日部店埼玉県春日部市中央1-1-5 小島ビル4C
ヘッドミント 草加店埼玉県草加市高砂2-11-20 真壁ビル4F
ヘッドミント 南越谷店埼玉県越谷市南越谷4丁目9-1並木ビル2F
ヘッドミントVIP 蕨店埼玉県蕨市塚越2-1-17TPビル201号室
ヘッドミント 稲毛店千葉県千葉市稲毛区小仲台2-6-7 スエタケビル3階
ヘッドミントVIP 千葉店 千葉県千葉市中央区新町1-13 木村ビル
ヘッドミント 平塚店神奈川県平塚市宝町5-1 第一興産19号 2F
ヘッドミントVIP 藤沢店 神奈川県藤沢市南藤沢21-9とのおかビル5F
ヘッドミント 宇都宮店栃木県宇都宮市東宿郷1丁目4−9MKビル7階A2
ヘッドミント 水戸店茨城県水戸市吉沢町216-6 南コーポA棟101
ヘッドミント 京都祇園店京都府京都市東山区祇園町北側270-4 Gion Hanaビル 6F
ヘッドミント 和歌山駅前店和歌山県和歌山市美園町5-7-8 パーク美園町ビル2F
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ヘッドミント 西宮北口店兵庫県西宮市南昭和町4-10 第一寿荘203号室
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堀田 直義

株式会社じむやの代表取締役。ドライヘッドスパ専門店ヘッドミント40店舗展開。X(旧Twitter)で「堀田直義」で検索!

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